苫小牧港・西港でババガレイ(ナメタガレイ)の良型が上がった。10月中旬、アナゴ釣りの取材で夜に港を訪ねると、まさに魚を取り込んでいる最中の釣り人に遭遇。大きさは42センチで見るからに肉厚のグッドコンディション。釣り人自身、予想外の展開に大喜びだ。
釣り上げたのは苫小牧市の60代男性。アナゴをメインに平物、根魚もといった狙いで午後7時すぎに釣りを開始した。タックルは4・05メートルの投げざお3本。男性はキラキラ公園前の水路に向けて100メートル先の深みと50~60メートルの掛け上がりに仕掛けを投入。もう一本はちょい投げで岸壁近くに仕掛けを打った。
仕掛けは13号のカレイ針を使った自作の胴突き。アナゴが針素に絡まないよう、先端にサルカンが付いたトンボピンを使い、仕掛けにはアナゴに効果のある発光体を付けていた。餌は塩締めのイソメとエラコだ。
早い時間は魚信が活発にあったものの、釣れるのはドンコとガヤとヒトデ。アナゴが餌を見つけて食い付く前にこれらが針に掛かる。小さな魚信がうるさいくらいあり、様子見で少し放置すると餌がなくなる。なかなか本命にたどり着けないでいたという。
ところが午後8時半を回ると、ぱったり魚信が途絶えた。仕掛けをさびいて魚を誘うため、ちょい投げしていたさおを持ち上げると重量感が伝わる。「またヒトデか」と思い、うんざりしながらリールを巻くと魚が抵抗するのが分かった。ぐぐっと下に差し込む感じから男性は「カジカっぽい」と判断。「わざわざたも網を使うこともない」と水中から無造作に抜き上げた。
ところが姿を見せたのは平物。慌ててキャップライトを当てると、楕円形が特徴的なババガレイとすぐに分かり、びっくり仰天。男性は思わず「やった。ババだ」と声を上げていた。
苫小牧の港でババガレイが釣れるのは非常に珍しい。20年以上前、東港で沖防波堤に船渡しが行われていた頃は釣果情報はあったが、陸からの投げ釣りではめったに釣れず、狙って釣る対象にはならない。狙うなら渡島地方の磯や漁港の防波堤からの遠投だ。
男性は「人生初のババガレイ。こんなことがあるから釣りは楽しい」と満面に笑み。「煮て食べるのが楽しみ」と表情を緩ませっ放しだった。