中古車販売大手ビッグモーター(東京)の保険金不正請求問題で、金融庁が同社の保険代理店登録の取り消しを検討していることが8日、分かった。顧客の車両に故意に傷を付けて保険金を水増し請求するといった悪質な行為が同社で広がっていたことを踏まえ、厳しい処分が必要と判断した。月内にも取り消し処分が出される可能性がある。
金融庁は9月からビッグモーターへの立ち入り検査を実施している。この中で、不正請求や展示車両を使って架空の保険契約を結ぶといった問題に加え、取締役会が開かれていないなど、適切な保険募集を行う上で求められる内部管理体制に問題があることを確認した。
東京海上日動火災保険は10月にビッグモーターとの代理店契約を解約し、三井住友海上火災保険やあいおいニッセイ同和損害保険なども今月末までに打ち切る。損害保険ジャパンも契約終了を決めており、ビッグモーターは中古車の購入客に保険を販売できなくなる。損保各社は同社を代理店とする保険契約は他の代理店に移管することで既存顧客への影響を抑える考えだ。
金融庁は、ビッグモーターと親密な損保ジャパンと親会社のSOMPOホールディングスに対する立ち入り検査にも着手している。ビッグモーターが自ら保険代理店を廃業すると、同庁が取り消しなどの処分を出せなくなることから、まずはビッグモーターへの対応を急ぐ考えとみられる。