胆振東部地震で被災した森林などを巡るバスツアーが6日、厚真町内で行われた。町の支援に関わってきた企業や今後の起業を検討している約20人が町内外から参加し、震災の爪痕が生々しく残る日高幌内川周辺や町内事業所を見学し、改めて自然の脅威を認識した。
胆振総合振興局と厚真町が震災の記憶の風化を防ぐとともに、森林再生や林業復興に向けた理解促進と企業誘致のPRを兼ねて開催した。
幌内地区にある日高幌内川では、ほぼ被災したままの状態になっている周辺の山腹崩壊現場を震災遺構として公開。北海道開発局の職員が幅約400メートルの土砂が地滑りを起こした移動崩壊の実態や当時の緊急対策工事について解説した。町の担当者は「われわれが状況把握ができない中、道開発局が最も危険な場所と認識してすぐに動いた。1年かかると言われていた土砂の撤去も3カ月ほどで終わらせてくれた」と当時の状況を振り返った。一方で震災から5年が経過し、カラマツなどが自生している状況も確認した。
森林再生に興味を持ち苫小牧市から参加した大石香織さん(47)は「現地の被災がすごくてびっくりした」と驚いた様子で、「人間は自然の力に抗えないが、自然のサイクルを受け入れて共存していかなければいけないとも感じた」と語った。
午後からは、町内で実際に起業した馬搬による林業や製材工場を訪れたほか、環境保全林について参加者同士で意見を交わした。