白老町陣屋町の仙台藩白老元陣屋資料館は10月28日、白老仙台藩陣屋跡の北海道遺産選定1周年を記念して特別講演会を開いた。岩手県奥州市のえさし郷土文化館の学芸員野坂晃平さん(47)が「幕末維新、蝦夷地警衛。仙台藩岩谷堂足軽の視点から」の演題で講演し、町民ら約20人が耳を傾けた。
野坂さんは、史料などから白老の陣屋建設に「岩谷堂(現奥州市北部)の足軽が関わった」と紹介。1856(安政3)年ごろに馬場や射的場などを手掛けたという。また、五稜郭などの近代要塞が築かれた時代に、白老陣屋が古典的な構えで造られた理由について「あくまで私見」としながら、「仙台藩が築いた要塞の多くと類似性があり、守りやすい形状にこだわったのでは」と述べた。また「陣屋の研究はこれから」とも語り、資料館との共同研究に意欲を示した。
野坂さんは盛岡市生まれ、盛岡大学文学部卒。1999年に江刺市教育委員会嘱託文化財調査員となり、今年からえさし郷土文化館課長。仙台藩支藩の岩谷堂藩の警衛に詳しく、専門は考古学、地域史。