旧優生保護法に基づき不妊手術を強制されたとして、全国の男女が国に損害賠償を求めた5件の訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は1日、審理を大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)に回付することを決めた。
訴訟は札幌、仙台、東京、大阪、神戸の5地裁に起こされ、二審はいずれも旧法の規定を「違憲」とした一方、不法行為から20年が経過すると損害賠償請求権が消滅する「除斥期間」を適用するかなどについては判断が分かれた。大法廷は来年にも、救済範囲などを巡り統一判断を示す見通し。
強制不妊を巡っては、全国で他に15件の訴訟が起こされており、影響は必至だ。
一審は、5件中4件で旧法の規定を違憲とし、東京地裁は違憲性を明確には判断しなかった。5件とも除斥を適用して国の賠償責任を認めず、原告の請求を棄却した。
これに対し二審はいずれも、規定は法の下の平等を定める憲法14条に反するなどと判断。4件が除斥の適用を制限して賠償を認め、原告の逆転勝訴とした。
除斥の制限に関しては、東京高裁が「救済法施行から5年間」、大阪高裁は「国が旧法の規定を違憲と認めるか、最高裁の違憲判断が確定してから6カ月間」などと分かれた。仙台高裁は一審同様に除斥を適用し、訴えを退けた。
大法廷回付を受け、新里宏二・全国被害弁護団共同代表は取材に「除斥制限の範囲が広がり、全体解決につながる判断になれば」と述べた。