多忙な門別ジョッキー 期間限定騎乗で東奔西走 (14)

  • エンジョイ競馬, 特集
  • 2024年11月22日
南部駒賞を勝った石川倭騎乗のバリウィール(写真提供・岩手県競馬組合)
南部駒賞を勝った石川倭騎乗のバリウィール(写真提供・岩手県競馬組合)
7日、門別全レース終了後に行われた騎手とファンの交流会。花束を手にするのが石川倭騎手
7日、門別全レース終了後に行われた騎手とファンの交流会。花束を手にするのが石川倭騎手
南部駒賞表彰式後に写真に納まる石川倭騎手(左から2人目)ら関係者
南部駒賞表彰式後に写真に納まる石川倭騎手(左から2人目)ら関係者

  ホッカイドウ競馬2024年度開催が11月7日で終了した。門別での競馬は冬季間休みとなるが、ジョッキーは忙しい。シーズン143勝を挙げ4度目のリーディング1位に輝いた石川倭騎手(29)は、16日から来年2月23日まで九州の佐賀競馬に籍を移して期間限定騎乗している。ムチ1本で日本中を駆け回る騎手について紹介する。

   16日から佐賀での期間限定騎乗を開始した石川倭騎手は、翌17日には岩手県水沢市の水沢競馬に参戦した。地方競馬交流競走の南部駒賞に、新馬戦から手綱を取ってきたホッカイドウ競馬所属のバリウィールとのコンビで出走。3連勝で重賞初制覇を果たした。

   期間限定騎乗とは06年に地方競馬全体で正式に運用された制度で、騎手が所属場以外の競馬場で定められた期間騎乗できるもの。サッカーでのレンタル移籍に似ている。石川倭騎手は、冬場は、10年ほど前から大井や佐賀に出向いている。佐賀には5年続けての遠征で、今年1月27日には同地で通算1000勝を達成。3歳戦ではウルトラノホシ(新ひだか町・坂本春雄氏生産)の主戦騎手として、その都度、北海道から遠征し佐賀皐月賞と栄城賞の2冠制覇に導いた。ホッカイドウ競馬では他に、落合玄太騎手が浦和、松井伸也騎手が高知、黒沢愛斗が岐阜・笠松で期間限定騎乗する。

   対象は変わるが、同じ17日にあった中央競馬G1マイルチャンピオンシップでは、ソウルラッシュ(日高町・下河辺牧場生産)が7度目のG1出走で念願を叶えた。団野大成騎手(24)は、日本時間15日深夜に中東バーレーンで国際レースに参戦後、空港に移動し10時間のフライトで帰国した。ゴール手前でガッツポーズをして適切な騎乗姿勢を取らずに入線したことで過怠金を課せられた。制裁は仕方ない。が、強行軍を覚悟し臨んだ一戦で気持ちは伝わってきた。

   強行軍といえば、やはりこのジョッキー抜きでは語れない。武豊騎手。1999年8月16日に旭川競馬場で行われたブリーダーズゴールドカップ。前日15日、現地時間午後(日本時間深夜)にフランスG1ジャック・ル・マロワ賞に出場し、レース後そのまま帰国し、旭川へ。旭川空港到着はレース約4時間前の午後4時だった。レースでは、疲れなど感じさせず4馬身差で圧勝した。インタビュー後、「いやあ、ホンマ、来て良かったわ」との一言は、25年たった今でも覚えている。

  (フリーライター・大滝貴由樹)

過去30日間の紙面が閲覧可能です。