パリ五輪で、女子やり投げ以外で注目していたのは男子4×100メートルリレーです。私がやり投げのほかにこの種目をやっていたこともありますが、2008年の北京五輪と16年リオ五輪で日本が銀メダルを獲得しており、「日本のお家芸」競技だからです。
「お家芸」のゆえんはバトンパスですが、今回のパリではサニブラウン選手が9秒96と自己新記録(日本歴代2位)を出しながら準決勝で敗退し、100メートル個人記録でリレー選手4人を選抜しても日本はメダルに届きません。
バトンを持ったことのある人は多いと思いますが、重さ55グラムほどとすごく軽いです。バトンパスには「オーバーハンド」と「アンダーハンド」があり、前者は距離が稼げるがフォームが窮屈になる、後者は距離は稼げないがフォームが崩れづらい、という特徴があります。
日本は01年から後者を採用し、リオでは「アンダーハンド」は日本だけだったそうです。18年にバトンパスが行える「テイクオーバーゾーン」が20メートルから30メートルになったこともあり、東京五輪では金メダルが期待されましたが、決勝でまさかのバトンミス棄権となり、残念な結果になりました。パリでは惜しくも5位でしたが、今後はチーム力が表れるバトンパスに加え、個人能力も向上させ、またメダルを目指してほしいですね。
さて、私たちも社会でさまざまな立場や役割を担っています。リレーと違ってバトンを渡す距離(任期など)は決まっていないことも多いです。後進を育成し、バトンを渡していく意識と準備は常に必要なのだと感じます。
(苫小牧信用金庫人事部長)