岸田文雄首相は27日、品薄となっているコメについて「消費者の立場に立って、コメの流通不足の懸念に対処」するよう、坂本哲志農林水産相に指示した。首相官邸で開いた食料安定供給・農林水産業基盤強化本部の席上、述べた。
コメは、物価高騰の中でパンや麺類に比べ価格上昇が緩やかだったことに加え、インバウンド(訪日客)による需要が堅調。これに南海トラフ地震の臨時情報に伴う買いだめも重なり、店頭で品薄となっている。首相は「さまざまな食品が値上がりしている中、食品アクセスの確保は喫緊の課題だ」と強調した。
一方、同本部では、食料安全保障の強化に向け、輸入依存度の高い麦や大豆の増産などを進める方針を示した。先の通常国会で食料・農業・農村基本法が改正されたことを受け、年度内に策定する新たな基本計画に盛り込む。
農林水産関係予算の2025年度概算要求額を2兆6389億円とすることも提示。「スマート農業技術活用促進集中支援プログラム」として410億円を計上し、生産性を飛躍的に上げるための技術開発などを後押しする。