東京電力は22日、福島第1原発事故で溶け落ちた2号機の核燃料(デブリ)の試験的取り出し作業に着手する。2011年の事故後、デブリを格納容器から取り出すのは初めて。今回採取するのは最大3グラムとごく少量にすぎないが、実際に回収できれば、廃炉に向けた工程は新たな段階に入る。
東電によると、作業は遠隔操作で「テレスコ式」と呼ばれる釣りざお状の装置を格納容器内に投入し、底にたまったデブリを取り出す。装置は7月に原子力規制委員会による使用前検査を終え、今月16日に合格を示す終了証が交付された。取り出しは2週間ほどで完了する予定。
回収後のデブリは日本原子力研究開発機構の施設に運ばれ、硬さや性質などが分析される。結果は年度内に取りまとめられる見通しで、本格的な取り出しを安全に進めるために役立てる。
同原発1~3号機内には、事故により高温で溶けた燃料と原子炉の構造物が混ざり合って固まった約880トンのデブリがあると推定されているが、詳しい状態や性質は分かっていない。放射線量の高いデブリの取り出しは、廃炉作業の中でも「最難関」とされている。
試験的取り出しは当初、21年に着手する予定だったが、新型コロナウイルス流行の影響で海外での装置開発が遅れたり、作業時に使用する配管にたまった堆積物除去が難航したりするなど、これまでに3回の延期を余儀なくされた。