総務省は2日、ふるさと納税の2023年度の寄付額が前年度比約1・2倍の1兆1175億円だったと発表した。4年連続で過去最高を更新し、初めて1兆円を超えた。返礼品人気の高まりなどを受け、制度を利用した人も初めて1000万人に達した。
自治体別の受け入れ額は、牛肉や焼酎などの返礼品をそろえる宮崎県都城市が193億8400万円で1位。2位が北海道紋別市の192億1300万円、3位が大阪府泉佐野市の175億1400万円だった。
寄付金の使い道を見ると、災害支援が前年度の約2倍の92億3700万円。1月に発生した能登半島地震の被災地への寄付が増えた。
ふるさと納税は、寄付額から2000円の自己負担を除いた額が住民税などから差し引かれる仕組み。制度を利用し、24年度に住民税の控除を受ける人は前年度比約1・1倍の1000万1724人で、納税義務者の約6人に1人が制度を使ったことになる。
寄付に伴う住民税の控除額(流出額)は過去最高の7682億3100万円。自治体別では横浜市の304億6700万円、名古屋市の176億5400万円、大阪市の166億5500万円の順に多く、大都市部からの税収流出が目立った。
ふるさと納税には、「返礼品は寄付額の3割以下の地場産品」「返礼品を含む募集経費の総額は寄付額の5割以下」とのルールが定められている。総務省は23年10月、寄付金の受領証発行費用なども募集経費に含めるよう基準を厳格化。寄付金に占める募集経費の割合は23年度、1・8ポイント増えて48・6%だった。
同省は25年10月から、利用者にポイントを提供する仲介サイトを通じて寄付を集めることを禁止する。サイト間の利用者獲得競争に歯止めをかける狙いだ。