国立アイヌ民族博物館は7月29日、全国の小中高校教員を対象とした講習会「教員のための博物館の日」を同館で開いた。同館職員や中学校教諭が動画教材を取り入れた授業の事例などを紹介。現地参加23人とオンライン11組が授業で使える知識を身に付けた。
アイヌ民族に関する学校教育の充実を盛り込んだ小中高校の学習指導要領が2017年から18年にかけて改訂され、同館は昨年4月までに授業の補助となる動画教材を作成、公開している。
教材は小中高各1本ずつ、それぞれ計20分程度。交易や関係性の変化を伝える歴史やコタン(村落)の暮らし、精神文化、先住民族の人権などの内容をまとめ、アニメーションや地図、古写真などを使って紹介している。同館の教育普及室研究主査の中井貴規さんが小中高それぞれの動画の内容を説明した。
登別西陵中の高橋孝平教諭は歴史と地理の授業事例を紹介した。アイヌ語やアイヌの世界観を説明した動画の一部を引用して、アイヌ語由来の地名について考える時間を設けたり、動画視聴後に分かったことや印象に残ったことを生徒にまとめさせ、グループで話し合ったりしたという。指導教材の内容を基に穴埋め形式のワークシートを作成し、視聴後に生徒間で交流しながら確かめさせる手法も紹介した。
高橋さんは「視覚的、聴覚的に分かりやすい教材。繰り返し視聴することで理解が深まる」と語った。