安平町の地域おこし協力隊隊員、浅野浩司さん(43)は、うどん店「安平うどん」を町追分緑が丘で開く準備を進めている。町産の小麦や野菜を使ったうどん料理を提供する店で、5日にクラウドファンディング(CF)を開始し、資金を募っている。「安平に人を呼び、町の魅力を多くの人に知ってもらえるようにしたい」と意気込んでいる。
浅野さんは千葉県出身。高校卒業後、成田空港近くのホテルで料理人としてのキャリアをスタート。24歳でフランスに渡り、レストランで修業した。25歳で帰国し、札幌市でバーテンダーとして酒類について勉強。東京でうどん店の全国チェーンを展開する企業に勤務し接客や経営を学んだ。
結婚相手が道内出身で、北海道への移住を検討していた際、安平町で起業を目指す人を発掘する「Fanfare(ファンファーレ)あびら起業家カレッジ」や新千歳空港に近く自然豊かな環境に魅力を感じ、2022年2月、町地域おこし協力隊の隊員となった。家族で同町に移住し、同年4月に町早来地区にカフェをオープンさせた。
その後、多くの町民と関わる中で「地域の特産品を生かし、新しいチャレンジをしたい」と思うようになった。一面の小麦畑が広がる町内の景色に魅了され、「町産小麦で作ったうどんで地域の経済活性化や食文化の発信に寄与したい」と考えるようになったという。
店は追分緑が丘の空き家を改装して開く。店舗面積は約40平方メートル。開店時期は未定だが、ランチタイムにうどんを提供する。浅野さんは「安平産小麦を使い、(こしのある)讃岐うどんをベースにした麺です。地域の野菜を食材にした天ぷらも味わってほしい」と話す。
ランチタイムを軌道に乗せた後、ディナータイムは予約制にしてピアノ演奏などができるようにし、バーメニューを用意する。間の時間はカフェを運営した経験を生かし、コーヒーのほか、町周辺で生産される小麦やハスカップなどで作ったスイーツを提供する計画を立てている。
CFは専用サイト「キャンプファイヤー」で31日まで実施。返礼品には「お礼メールとランチ食事回数券」(5000円)、「お礼メールと安平うどんセット郵送」(1万円)などを用意した。
安平うどんは、袋入りの麺を道の駅あびらD51(デゴイチ)ステーションなどで販売している。浅野さんが講師となり、中学校の生徒や町を訪れた企業関係者向けに実施している手打ちうどん体験も好評だ。