都市で生まれ、広く伝えられる根拠のないうわさが「都市伝説」。4日の全道紙中面1段見出しの記事「羊蹄山頂にクマの足跡」を読んで、頭に入ったまま消えない「羊蹄山(1898メートル)にヒグマはいない」という伝説を思い出した。
記事によると7月2日夜、9合目の避難小屋の管理人が山頂近くの登山道で幅18センチの成獣の足跡を発見して後志管内倶知安町に連絡した。記事には「独立峰の羊蹄山ではクマがほとんど見られなかったが2022年5月にも山頂付近で1頭が目撃されている」と解説があり、北大大学院教授氏の「羊蹄山には水場がなく他のクマもいないので定着することはない。道内の他の山を登る時と同様の対策が必要」という助言で結ばれていた。
誰に聞いたか、何で読んだか思い出せない。確か山麓が耕地や舗装道路で覆われているのが根拠。ここ数年の各地のクマの出没状況を見れば説得力はない。
真狩村からの登山道で10年ほど前、恐怖を味わった。登山道脇のササやぶを何かがガサガサと登ってくる。大声を出しても無反応。間もなく登山道に飛び出して来たのは若者。時間短縮を目指していたらしい。顔面蒼白(そうはく)のおじさんにあいさつもせず、また、やぶに入って行った。ヒグマのような2人。(水)