白老町の元地域おこし協力隊隊員で、haku(ハク)ホステルを町大町で経営する菊地辰徳さん(47)が9日、起業を目指す同協力隊員を支援する事業「食と観光創業塾2024」の講師として、同ホステルで講演した。道内10市町の同隊員ら12人が耳を傾けた。
事業は、はまなす財団(札幌市)が道内の地域おこし協力隊員や元隊員を対象に初めて企画した。12月上旬まで札幌市など4カ所とオンラインで13回開催。資金調達の手法や開業に向けた行政手続き、経営の心構えを指導し、事業計画をまとめて専門家の講評を受けるところまで支援する。
受講者は、様似町や空知管内長沼町、砂川市などでカフェやゲストハウスの起業、経営を目指す12人。菊地さんは、起業した同協力隊員だったことから講師を務めた。
この日は初回で、菊地さんは「(店や施設を開く際は)『わざわざ』来てくれる場所にすることを心掛けて」とアドバイス。地場産タラを使った加工食品を開発して販売し、訪日客の心をつかんだ事例や、自身が起業地に白老を選んだ決め手として飛生芸術祭を開催するなど芸術文化が根付くまちだったことなどを紹介した。
ホステルの名称ハクには「(かつて白老で営業していた)柏村旅館の歴史を引き継ぐ思いも込めた」と語り、「事業計画には真剣な思いを込めて伝えることを忘れないで」と話した。
困り事に応じる何でも屋の開業を目指す様似町の同協力隊員徳重誠さん(38)は「分からないことは専門家の力を借りて学び、事業を進めたい」と話していた。