5月に入り、一般的な登山シーズンが始まりました。支笏湖ビジターセンターにも湖周辺での登山情報を尋ねに来られる人たちが増えてきています。
支笏湖エリアで一番人気の山は樽前山ですが、今年は「東山コース」の登山道整備のために7合目駐車場まで車の乗り入れはできず、登山も道から自粛が求められています。樽前山ではコロナ禍のアウトドアブームもあり、近年では年間3万~4万人の登山者が訪れていたそうです。
登山する人が増えれば必然的に事故も増えます。道警が発表した2023年の北海道の山岳遭難発生状況では、遭難発生件数144件、遭難者数172人となっています。これは令和になってからは最多で、コロナ禍で始まった登山・アウトドアブームがコロナの5類移行後も継続していることを物語っています。コロナ解禁でインバウンド(訪日客)が増えたことも遭難発生件数の増加の一因となっているのかもしれません。
遭難者のうち死亡が17人、負傷68人、行方不明3人で残りは無事。道迷い、転倒、滑落、疲労、病気などが主な遭難の原因となっているようです。144件のうちの12件が支笏洞爺国立公園内で起きています。さらに、うち5件が「蝦夷富士」として知られる羊蹄山での事故ですが、ここは比較的体力と技術が必要になる山です。
支笏湖エリアでは8月に樽前山での道迷いが1件、10月に恵庭岳で病気による救助要請が1件ありました。さらに24年に入り、3件の遭難事故が発生しています。2月に漁岳で滑落による負傷、3月には紋別岳でも負傷者が、樽前山では強風と積雪により行動不能に陥った登山者が救助を要請しています。
山には危険がつきものですが、昨年は道南で登山中にヒグマに襲われる事故も起きています。登山の際にはしっかりとした準備が必要です。その上で安全に山登りを楽しみたいものです。
(支笏湖ビジターセンター自然解説員 仲澤和隆)