ゴールデンウイーク(GW)後半の3日、白老町若草町のアイヌ文化発信拠点・民族共生象徴空間(ウポポイ)は、国内外からの多くの観光客でにぎわった。6日までのGWイベントとしてアイヌ語の世界を体感できる学習プログラム「イタク トマリ(言葉の港)」を体験学習館別館で開催しており、広報課担当者は「この機会に多くの人にアイヌ語に親しんでほしい」と話す。登別市中登別町の登別伊達時代村も5日まで、連休ムードを盛り上げる大道芸を村内各所で展開している。
ウポポイでは、アイヌ語を聞き、想像し、話す体験ができる学習プログラムやイベントを敷地内の各所で実施している。ポロト湖畔にあるコタン広場では、職員とウポポイの公式PRキャラクター「トゥレッポん」が前後左右を意味するアイヌ語を伝え、来場者約100人が合図に合わせて体を動かした。伝統的コタン群では、職員と来場者がアイヌ語で会話して交流した。来場者が職員に「イワンケノ エアナ?(お元気ですか)」と声を掛けると、職員がアイヌ語で応じ、アイヌ語を紹介したカードを贈った。
札幌市から親子3人で訪れた会社員の如澤英也さん(52)は「苫小牧でキャンプをしてこちらに来た。(小学生の)長男が(アイヌ語に)興味を持って楽しく遊んでいるのがうれしい」と笑顔を見せた。
ウポポイでは、ほかにもアイヌ文様の刺しゅうを体験できるイベントなどを用意しており、来場を呼び掛けている。
登別伊達時代村は5日までの3日間、GW特別企画「江戸をいろどる大道芸」を実施しており、多くの観光客が訪れている。道内で活動する大道芸人が延べ24組出演し、曲芸や三味線演奏、紙芝居、腹話術などを披露。活気に満ちた江戸のまちの雰囲気を再現している。9年目の企画で、広報担当者は「職員の人手不足もあり、外の力を借りながら村を盛り上げてもらっている」と感謝する。
いずれの観光施設も昨年はインバウンド(訪日客)が目立ったが、今年は「国内客が戻って来た印象」と口をそろえる。国内客は家族連れ、訪日客はカップルや個人が多いという。多い時でウポポイの1日当たりの来場者は約1700人、時代村は約1200人。間もなく新型コロナウイルス感染症の5類移行から1年となる中、来場者数の動向を注視している。