残るか離れるか、迫られる決断 生活再建遠く―能登地震4カ月

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  • 2024年5月1日
残るか離れるか、迫られる決断
生活再建遠く―能登地震4カ月

 能登半島地震の発生から1日で4カ月となる。被災地では水道の復旧や仮設住宅の建設が急ピッチで進むが、被災家屋は多くが損壊したままの状態で、生活立て直しへの道は険しい。残るべきか、新たな地で再スタートを切るか。被災者は難しい決断を迫られている。

 ◇世帯半数に、住民危機感  石川県輪島市の棚田が広がる町野町金蔵地区。区長の井池光信さん(68)は、集落が「ばらばらになる」危機感に駆られている。

 地震前に住んでいた53世帯はこの4カ月、避難などでおよそ半分に減った。「高齢だし、もう無理だ」と戻るのを諦めた人もいる。井池さん宅を含め、残る世帯の多くは「大規模半壊」と診断されながら、互いに協力してトイレや風呂を修理し、住み続けている。

 残った住民は1月4日以降、毎朝8時半に全員集まり、情報共有を続けてきた。川がない集落では、ほぼ唯一の作物であるコメ作りのための「ため池」管理が欠かせず、培ってきた人間関係は深い。「みんなで力を合わせなければ何一つできない厳しい集落」(井池さん)といい、そのコミュニティーを維持できるかの正念場にある。

 住民を新たに悩ませているのが仮設住宅の問題だ。市には集落内の建設を要望してきたが聞き入れられず、約6キロ離れた場所に5月末に完成する見込み。仮設入居者が集落に残る人と毎日顔を合わせるのは難しいとみられ、井池さんは「集まることができなくなれば、集落がすぐに廃れる」と懸念する。

 避難中の人たちにも、いつか戻ってきてほしいという思いから、集落の様子を伝える年4回の「新聞」を送る計画を進める。井池さんが子どもの頃に世話になった多くが今は80代や90代。「彼らがこの集落で最期の時を迎えられないのは本当につらい」と胸の内を明かす。

 ◇移住に自責の念  苦しい決断の末、故郷を離れた人もいる。輪島市門前町に住んでいた岡本好郎さん(76)は、妻とともに富山県滑川市の娘夫婦の家に移った。自宅は倒壊を免れたが、近所では家屋の下敷きになって命を失った人もいる。両親の身を案じた娘の説得についに折れた。  岡本さんは生まれも育ちも能登。地域住民の絆が強く、地震直後も近所で食料などを持ち寄ってしのいだ。

 「復興してまた住みやすい町にしよう」。友人らとそう話していたが、2007年にも震度6強の大地震を経験した自宅の建て付けは悪くなる一方だった。相次ぐ余震に「今度こそ家がつぶれるかもしれない」と不安が頭をよぎる。すぐに避難できるよう寝間着に着替えずに就寝する日々が続き、「これでは安心して生活できない」と心を決めた。

 岡本さんは「みんなで力を合わせて再建しようと話していた。約束を破ってしまった」と罪悪感を拭えずにいる。ふるさとを捨てた「裏切り者のようなもの」と自らを責める。

 月2回は輪島市に戻り、友人らと交流してきたが、「移住を決めた以上は両立はできない。区切りをつけないと」。新しいコミュニティーの一員として歩み始めようとしている。

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