アルコール依存症の人の肝臓だけを治しても、また飲める体に戻すだけ。借金もギャンブル依存症の結果として必ず発生する合併症で、借金対策を考えるのではなく、本人が自分の問題を認め、治療を考えるべきだと専門医は指摘する。
米大リーグ大谷翔平選手の元通訳、水原一平容疑者が借金返済のため大谷選手の銀行口座から不正に送金したとされる約24億5000万円は、そもそも対策を考えるレベルをはるかに超える。水原容疑者は米連邦地裁の保釈手続きで、依存症の治療プログラムを受けるよう条件を出されると、大きくうなずいたという。
これを受け、大谷選手は「一区切りがつくので野球に集中したい」と語った。集中できなくてこの成績なのか―と改めて驚くが、この間の心痛は言葉にできないほどだったと思う。周りの人を傷つけずにはいられないのも依存症の特徴だ。
道はオンラインによるギャンブル依存症が増えているとして、症例や支援策の事例集を初めて作成した。精神科医らが依存症をテーマに講義する動画も30日までユーチューブで公開している。医師は動画で、本人の回復には「うそのない再スタート」が欠かせないと問題の全面開示の必要性を訴えている。5月9日に行われる罪状認否はその第一歩だ。(吉)