厚真町観光協会が実施する町震災学習プログラムが、北海道観光振興機構(札幌市)の2023年度地域の魅力を活かした観光地づくり推進事業で、地域単独事業部門の最優秀賞に選ばれた。胆振管内では初めての受賞。10日に同協会事務所で同賞の授与式が行われ、同プログラムで活動する厚真高校の生徒たちなどが受賞を喜んだ。
同事業は、満足度の高い観光地づくりなどの推進によって地域経済の活性化を図ることが目的。地域単独事業部門のほか、DMO枠、広域連携事業の2部門があり、観光推進に貢献し、要件を満たした団体(事業)に助成金を支給している。特に優れた取り組みには、各部門で最優秀賞、優秀賞、特別賞を選んでいる。
地域単独事業部門では23年度、34件の団体(事業)が助成金の審査対象となった。このうち厚真町震災学習プログラムは、山腹崩壊が起きた地域などを巡る被災地ツアーと、防災ゲームでの模擬避難所運営体験などを組み合わせた内容。
被災地ツアーでは、厚真高の生徒3人が高校生被災地ガイド「さざんか」で活動し、被災地やオンラインでの報告などを通じて8回ほど自分たちの被災体験を語る機会があった。同機構は、若い世代のガイドの活動を高く評価し、最優秀賞に選んだ。支援対象事業にも選定し、23年度に助成金170万円を支給した。
この日は同機構事業企画本部観光戦略部の三浦晶代担当部長と同部マーケティング・DX部の森達哉次長が同協会を訪れ、原祐二事務局長とさざんかのメンバー、加藤迅さん(17)=厚真高3年=、木村璃空さん(16)=同2年=、蹴揚葉月さん(16)=同2年=に盾を贈呈した。
加藤さんは「活動が認められ、形あるものをもらえてうれしい」と笑顔を見せた。木村さんは「まだ実感がない。プログラムが受賞したことを知らなかった」、蹴揚さんは「特別なものをもらい、誇りに思う」と感想を述べた。
一方、さざんかの課題は次世代ガイドの確保。3人は今後、新入生に入会の勧誘を進める考えで、加藤さんは「この活動を絶やしたくない。新しい人を増やし、自分たちが望む活動を続けたい」と力を込める。
高校生被災地ガイドは、随時募集をしており、厚真高以外の生徒も活動できる。原事務局長は「バトンをつなげられるよう、興味のある人は観光協会に問い合わせてほしい」と述べた。