まちおこしなどを目的とした白老町の20~30代女性の取り組みが、インターネットで資金を募るクラウドファンディング(CF)を通じ、注目されている。羽地夕夏さん(25)の書店の開店、乾藍那さん(37)のアイヌ文化に関する英語版冊子の制作、吉原和香奈さん(38)の温泉宿の開業で、CFによって広く支持され、目標額を上回る善意に結び付いた。3人は「より良い形で目標を実現させたい」と張り切っている。
羽地さんは町地域おこし協力隊員で、町大町の築50年の建物を改修し、書店「またたび文庫」の5月3日開店を目指す。「書店は地域に不可欠」という熱い思いからで、CFは改修費用調達のため150万円を目標額に3月5日~4月8日の期間で実施中。4月3日午前10時時点で146人から155万1166円を集めた。
乾さんは2月末まで町地域おこし協力隊員を務め、町内のアイヌ刺しゅうや木彫りの作家とサークルを紹介する英語版冊子「白老ハポの手仕事」(A4判、40ページ)を5月末には2000部作成。町内外に無料配布する。CFは制作費確保が目的で、30万円を目標額に3月10日~4月15日の期間で実施中。4月3日午前10時時点で88人から69万1200円が集まり、印刷精度などを高めようと現在は100万円を新たな目標額にしている。
吉原さんは町虎杖浜でペットと泊まれる温泉宿「たらこ湯」の5月10日開業に向けて準備中。CFは改装修繕費確保を目的に1~2月の3週間実施し、当初の目標額150万円を大きく上回る258万7000円が208人から集まった。現在は敷地内に設置するドッグランの柵の取り付けを終えたところで、町内の友人山下純奈さん(38)と返礼品用キーホルダーの制作を進めている。
羽地さんは「これまで町内で移動書店活動を続けてきた。その時に関わった人たちの多くが支援してくれた」、乾さんは「2年半の調査・取材活動やSNSでの交流を通し、応援してくれた人たちの支援が大きい」、吉原さんは「想像しなかった勢いで善意が集まり、ペットと一緒に宿泊したいという需要の大きさを再認識した」と取り組みに寄せられる期待を感じ、善意に感謝。乾さんは「冊子で紹介した人の仕事を紹介する企画展を町内で開くことなどもできたら」と意欲を表す。
3人は互いに改修作業を手伝ったり、冊子を店に置くなどの約束を交わしたりと支え合ってきた仲。羽地さんは「隊員の活動報告会やイベントなどで2人に刺激をもらってきた。白老での暮らしは、互いにいろんなものを贈り合っている感じです」と話していた。