次世代半導体の国産を目指すラピダス(東京)は2日、製品を組み立てる「後工程」の先端技術開発に乗り出すと発表した。経済産業省は同日、最大5900億円の追加支援を発表。官民一体で、人工知能(AI)や自動運転システムに使われる次世代半導体について、2027年の量産実現を目指す。
すでに研究開発に着手している製造の中心「前工程」に加え、後工程も一貫して手掛けることで、設計から製造までにかかる時間を短縮し、競争相手との差別化を図る。都内で記者会見した小池淳義社長は、「ライバルに対して2倍以上のスピードで作る」と強調した。
追加支援5900億円のうち、535億円を最先端のパッケージング技術など後工程の開発費用に充てる。千歳市内のセイコーエプソン事業所の一部を活用する。
5365億円は、同市に建設中の前工程の工場建設や製造装置の導入に投じる。25年4月には、回路線幅2ナノメートル(ナノは10億分の1)となる次世代半導体の試作ラインを稼働させる。
今回の追加支援によって、ラピダスに投入される国費は最大で計1兆円近くとなるが、同社は量産までの総投資額は5兆円規模を見込む。経済安全保障の強化を目指すとはいえ、巨額投資に見合う成果が得られるかも問われそうだ。