政府は26日、国家安全保障会議(NSC)9大臣会合を持ち回りで開き、防衛装備移転三原則の運用指針を改定し、国際共同開発する防衛装備完成品の第三国への輸出解禁を決めた。当面は英国、イタリアと開発中の次期戦闘機に限定する。
共同開発品はこれまで、開発相手国を除き輸出できなかった。政府は昨年12月、外国企業の技術を用いて国内で製造する「ライセンス生産」の装備品について、輸出規制を大幅に緩和。これに続く安全保障政策の大転換となる。
自民、公明両党の協議に基づき、政府は26日の閣議で、なし崩しの輸出拡大を防ぐ「歯止め策」を決定。実際に輸出する際は、個別の案件ごとに閣議決定する。従来はNSCの決定事項だったが、意思決定のプロセスを厳格化。与党の事前審査も担保する。
輸出可能な共同開発品は「個別のプロジェクトごとに運用指針に明記する」とし、今回は次期戦闘機のみを記載した。対象を広げる場合は改めて指針の改定が必要となる。
次期戦闘機の輸出先は「国連憲章の目的と原則に適合した使用を義務付ける国際約束の締結国」に絞る。具体的には「防衛装備品・技術移転協定」の締結国で、現在は米国、オーストラリア、インドなど15カ国。「武力紛争の一環として現に戦闘が行われていると判断される国」は除外する。
政府はF2戦闘機の後継機として、2022年12月に英伊と共同開発で合意。指針の改定は、輸出に伴う価格低減効果を重視する両国側の意向を踏まえたものだ。26日に閣議決定した文書では「英伊と同等の立場を確保する必要があるとの認識に至った」と明記した。
日英伊は35年度の開発完了を目指し、開発体制や作業分担に関する交渉を本格化させる。