米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡り、軟弱地盤改良に伴う工事の設計変更を知事に代わって承認する「代執行」に向けた訴訟の第1回口頭弁論が30日、福岡高裁那覇支部であり、三浦隆志裁判長は即日結審した。判決期日は後日指定する。実質的な審理を退けた形で、県側敗訴の公算が大きくなった。
玉城デニー知事の不承認決定取り消しを巡る法廷闘争で県側敗訴が確定した後も、知事側が承認に応じなかったことから、国が地方自治法に基づいて提訴した。国側は「法治国家の原理に反し看過し難い」と指摘し、知事に設計変更承認を命じるよう求めた。
県側は答弁書で、政府は「問題解決に向けて対話を呼び掛けた県側の求めを一顧だにせず、無視してきた」と指摘。他に解決手段がないとは言えず、代執行の要件を欠くと訴えた。
玉城知事は意見陳述で「沖縄県の自主性、自立性を侵害する代執行は到底容認できない」と指摘。裁判所に対し「県民の期待と願いを国家権力で踏みにじることを容認しないようお願いする」などと述べた。
国の主張が認められると、高裁那覇支部が知事に設計変更承認を命じ、従わなければ国が代執行できる。
防衛省沖縄防衛局は軟弱地盤のある大浦湾側の工事に着手する構えで、すでに陸地化した辺野古崎南側に土砂の仮置きを進めている。
玉城知事が2021年、地盤改良に向けた防衛省の設計変更を不承認としたのに対し、国土交通相は知事の決定を取り消す裁決と是正指示を出して、法廷闘争に発展。最高裁で9月、県側敗訴が確定した。
玉城氏は閉廷後、承認を命じる判決が出た場合の対応を問われたが「判決が出てから検討したい」と述べるにとどめた。