衆院議員は31日で任期4年の折り返し点を越える。現行憲法下の平均在職日数は1020日(約2年10カ月)だが、政界では「残り2年を切ったらいつ衆院解散・総選挙があってもおかしくない」とされ、与野党は常在戦場の構えだ。どこで解散に踏み切るか、岸田文雄首相の判断が焦点だ。
現行憲法下で行われた衆院選は26回。唯一任期満了となった1976年(三木内閣)以外は、全て解散に伴い実施された。このうち21回は、天皇の国事行為を定めた憲法7条に基づき時の首相が解散権を行使した。
衆院解散は政権の盛衰に直結する。2005年の小泉純一郎首相の「郵政解散」や14年の安倍晋三首相の「アベノミクス解散」では、議員在職期間が2年未満の時点で解散して大勝し、政権基盤の強化につなげた。
逆に、09年の麻生太郎首相は任期満了まで2カ月を切ったタイミングでの「追い込まれ解散」となり、自民、公明両党は惨敗して野党に転落した。20年の新内閣発足直後の解散を見送った菅義偉首相はその後、新型コロナウイルス感染拡大に翻弄(ほんろう)され、最後は求心力を失って退陣した。
11月2日に策定する総合経済対策の柱として岸田首相が所得税などの減税を打ち出したのは、解散絡みの思惑が込められているとみる向きもある。自民幹部は「行き着く先は解散だ。そうでないと異常だ」と指摘。中堅議員も「減税と解散はセットだ」と語る。
一方で、内閣支持率は政権発足後の最低水準に落ち込んだ。先の衆参2補欠選挙では自民が議席を一つ減らし、「解散は当面できない」(同党ベテラン)との見方も広がる。来秋の党総裁選での再選戦略とも連動するため、首相は慎重にタイミングを探る考えだ。