環境省は、人気観光地でのポイ捨て対策のため、来訪者に楽しんでもらいながらごみを減らす取り組みに乗り出す方針を固めた。行動科学の知見を生かし、より良い選択を自発的に取れる手助けをする手法「ナッジ」を活用。人気キャラクターとコラボしたごみ箱の配置などを想定している。今年度補正予算案に事業費を盛り込む方向で、複数箇所での実施を目指す。
京都市や神奈川県鎌倉市などの人気観光地では、来訪客によるごみ放置などの問題「オーバーツーリズム(観光公害)」が深刻化しており、効果的な対策を探る。
同省によると、全市区町村の62%に当たる1080団体で、ポイ捨てをした人に過料を科すなどの条例を制定済み。ただ、見回る職員の不足などで「実効性が伴っていない」との指摘もある。
そこで同省は今年度、観光客によるごみ問題に悩む自治体を選び、ナッジを活用して正しく捨てるよう促すユニークな取り組みを実践する。例えば、人気キャラクターとコラボしたごみ箱を置いて、観光客に探してもらう仕掛けをイメージ。ごみを捨てると音が鳴ったり、クーポンが付与されたりするごみ箱も想定している。
このほか、食べ歩きで使い捨て容器のごみを出さないため、再利用できる皿などで飲食物を提供する取り組みも検討。同省はこうした事業を国立公園内で行うことも視野に入れている。