白老町陣屋町の仙台藩白老元陣屋資料館は29日まで、特別展「第12回刀剣展 堀井一門」を館内で開いている。日本製鋼所室蘭製作所の瑞泉鍛刀所の刀匠として知られる堀井家の初代から3代までの作品をメインに、太刀や刀など貴重な資料35点を公開している。
堀井一門は刀匠の家系で、初代は近江国(滋賀県)生まれの胤吉(たねよし)さん=1821~1903年=。2代胤明(たねあき)さん=1852~1923年=と3代俊秀さん=1886~1943年=親子は、近代化で衰退した日本刀制作技術の保存と向上のため、日本製鋼所が1918年に瑞泉鍛刀所を開設した際に刀匠として招かれ、今の滋賀県から室蘭へ移住。作刀を手掛けた。
特別展は、今年が初代没後120年、2代同100年、3代同80年の節目に当たることから企画。俊秀さんの孫で分家となる、同鍛刀所4代の堀井胤匡(たねただ)さん(69)が監修した。
会場には、江戸時代から昭和時代に至るまでの太刀、脇差し、短刀といった美術的価値の高い刀剣類が並ぶ。見どころの一つは、奈良県の石上神宮で発見された環頭大刀を模して俊秀さんが作ったとされる初公開の太刀。さらに、胤吉さんの初期の作で「近江国胤吉」と号していた頃の作品もあり、来場者の関心を集めている。
胤匡さんは「初代が手掛けた初期の作品は貴重。また、一門特有の刀身の美しさも魅力なので、ぜひ多くの方に見てほしい」と呼び掛ける。
22、29日の各日午前10時からは1時間程度、胤匡さんを案内役に、展示資料の刀剣の魅力や人物に迫る展示解説会を予定している。
午前9時半~午後4時半。月曜休館。入館料は高校生以上300円、小中学生150円、白老町民は無料。問い合わせは同館 電話0144(85)2666。