政府は2025年春から、戸籍に記載する氏名の読み仮名を全ての国民に届け出てもらう方針を固めた。戸籍法改正に伴うもので、全国の市区町村が26年春まで受け付ける。社会のデジタル化促進が狙い。漢字本来の読み方と異なる「キラキラネーム」の判読も容易になる。法務省関係者が16日、明らかにした。
氏名の読み仮名は現在、出生届に記述欄があるが、戸籍には記載されていない。個人データの検索・管理を容易にして行政の事務負担を軽減するため、今年6月成立の改正戸籍法で読み仮名も戸籍の記載事項に追加された。マイナンバーカードの海外利用が24年にも始まることに伴い、カードに氏名のローマ字記載が必要となることも踏まえた。
法務省は年の改正法施行後、書面やマイナカードの個人向けサイト「マイナポータル」によって届け出てもらう方法を想定する。市区町村が住民票などで把握している読み仮名を郵送で通知。戸籍の筆頭者が家族全員の名字を、家族は自身の名前をいずれもカタカナで届け出る。1年以内に届け出がなければ市区町村が職権で住民票の記載を戸籍に転記する。
改正法は氏名の読み仮名について「一般に認められているもの」に制限する基準を設けており、法務省が今後、具体的な指針を示す予定だ。既に戸籍のある人は現に使用している読み方が認められる見通し。同省は音訓から外れた「名乗り訓」を幅広く許容してきた日本の命名文化を尊重すると説明している。