厚真町の厚南中学校(石崎和昌校長)は12日、1年生の社会科授業で厚真の歴史を学ぶ特別授業を行った。町教育委員会の乾哲也学芸員らを講師に迎え、町内で出土した土器や遺物などを通じ古里の歴史に理解を深めた。
乾学芸員は、平安時代の貴族が使っていたとされるおわんや愛知県で作られたつぼなど、貴重な資料が町内で見つかっていることを説明。「平安時代から鎌倉時代にかけて、厚真は地理的環境を生かし、本州と交流をしていたことが分かる」と北海道や日本の歴史は町内の出土品からも学べることを伝えた。
また、6月下旬に授業で制作した縄文式土器が乾燥、素焼きされ、この日、生徒たちに届けられた。
鈴木笑瑚さん(12)は「教科書には大昔の北海道のことが載っていないので歴史をイメージできずにいたが、本州と深く関わりがあると知った。完成した土器は、お母さんが開いているお店で使ってもらえたらと思う」と話していた。
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厚南中は1年生の職業体験発表も、11日に体育館で行った。生徒18人がそれぞれ、現場で働いてきた様子を影絵で表現して伝え、働くことの大変さなど実感したことを語った。
職業体験はふるさと教育の一環で行われ、今年度は9月下旬に19人が町役場や牧場、農家、スーパーマーケットなど18事業所に出向いて仕事をした。
発表では、現場で印象に残った仕事のポーズを一人一人影絵で表現し、そのポーズを選んだ理由、事業所で印象に残ったこと、働いた感想を述べた。
工藤俊人さん(13)は牧場で牛舎の掃除や牛の餌となる牧草ロールをならす作業を体験。影絵では、ミルクをあげる時に使う専用道具の形を段ボールで作り、同級生に牛の役を担当してもらってミルクを飲ませる様子を伝えた。「腰が痛くなって大変だったし、牛舎の中は暑かった。影絵はうまくできたと思う」と仕事や発表を振り返り、「いろんな人の影絵を見て、みんな苦労したなと感じた。その時の状況や、やったことをもっと詳しく説明すると、より良くなると思った」と話した。
このほか、デイサービスで利用者に対応した生徒が車いすを押してあげる場面を、スーパーで働いた生徒がレジを扱う様子などを、個性に富んだ影絵で表現していた。