「人のためになる物づくりがしたい」―。製油二課で重油直接脱硫装置など担当設備の健全性を維持する、設備担当グループのリーダー菊地峻輔さん(38)の原点だ。苫小牧市出身、苫小牧工業高等専門学校卒。2006年に入社し、直員や設備担当を歴任するなど、構内装置と向き合ってきた。操業50周年の節目を迎える中、「今まで経験したことのない不具合が起きることもある」と油断することなく誠実に仕事をこなす。
グループは菊地さんを含めて7人が在籍しており、その役割について「装置の信頼性を担保しながら、最大限の能力を発揮できるように、トラブル解消を図る」と説明する。日々の問題点は当直業務の直員たちから随時ヒアリング。必要に応じて直員向けの勉強会を開き、注視してほしい点などを丁寧に伝えている。
北海道製油所は海が近いため、各施設は潮風にさらされる塩害で、赤茶色のさび「外面腐食」が発生しやすい。安全・安定操業に支障が出ないように、「大きくなればなるほど影響が出る。小さな段階から摘むことが大切」と効率的な工事や補修内容を検討する。不具合発生前に改善へと導く予防保全も重要な業務で、他部署と連携しながら備えている。
機械を直接運転・管理する直員たちと異なり、黒子のような立場だが「われわれの地道な業務も設備の健全性、エネルギーの安定供給につながっている」ときっぱり。思い描いた「人のための物づくり」に誇りを持ちながら、きょうも業務に臨んでいる。
培った知見は合成燃料の製造や、他社と社会実装を目指す二酸化炭素を分離、回収、貯留する技術「CCS」事業など、脱炭素社会に向けて変革に突き進む同製油所の一助になる。「近隣のエネルギー関連企業と共に新たな構造が生まれていく。その仕事にも携われるように知識、技術をより高めたい」と意欲を燃やす。