白老町内の12カ所を会場に開かれた芸術祭「ルーツ&アーツしらおい2023―白老文化芸術共創」は9日に閉幕した。会期中の来場者は昨年(4800人)の2倍以上に当たる延べ9946人に上った。最終日には町道大町1番通りと同3号通り沿いにある空き地でファイナルイベント「しらおい文化交流」が開かれ、町民ら約500人が参加。約30年ぶりに復元された「どさんこ音頭」がフィナーレに演奏され、和気あいあいと盆踊りを楽しんだ。
主催する白老文化観光推進実行委員会の事務局が取りまとめた来場者の主な内訳は、▽メイン作品を担当した田湯加那子さんの展示会場の社台小学校が1126人▽大町の旧発掘堂で開かれた「胆振 生活と手仕事展」が720人▽建設中のブルワリーを会場とした展示が600人▽白老観光協会とおもてなしガイドセンターのガイドツアー、アイヌ民族衣装の試着、パッチワーク体験が計2500人。観音寺や蔵、社台海岸での企画展、屋外写真展2カ所、昨年制作された常設展示3カ所もそれぞれ500人を上回る来場があったという。
事務局の広報担当者は来場者が増えた要因として、実行委と町内の飲食店、観光協会、おもてなしガイドセンターなどが連携し、作家の制作意図や魅力を共有したことで「観光客への案内や誘導がスムーズに進み相乗効果が生まれた」としている。また、白老ゆかりの作家が多数参加したことで町民の関心が高められた。会場の常駐スタッフも町民のボランティアで構成し、町民の手による芸術祭の意識が強まったという。
さらに、アートスポット3カ所以上のスタンプを集めてポロトミンタラのアイスやコーヒーの割引特典が得られるアートスタンプラリーで、一定の周遊効果が得られたとみている。
実行委の熊谷威二会長(80)は「町民と一緒につくり上げていく祭りにしていくことが大切。まち全体で声を大きくして盛り上げることで町外の人が白老を気にしたり、気に入ったりして、移住定住につながれば素晴らしい」と述べた。
同祭の記録集は来年3月までに発行する予定だ。
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ファイナルイベント「しらおい文化交流」は町内外の飲食店や雑貨、古本屋などのテント市が会場をぐるりと囲む中、北海道栄高校の吹奏楽部やダンス部が弾けるステージを披露。白老民族芸能保存会による伝統舞踊も多くの拍手を浴びた。
フィナーレを飾った「どさんこ音頭」は1969年から20年余り、祭りの定番となっていた50代以上の町民にとって思い出深い曲。復元に奔走した町竹浦のドローンカメラマン、瀧谷栄さん(56)が札幌の音楽ユニット「草舞弦(そうぶげん)」らとカムイケライオーケストラを結成。瀧谷さんが音頭を取って渋い喉を鳴らすと、大きなやぐらを中心に参加者による踊りの輪が生まれ、文字通りの大団円で幕を閉じた。