米国ハワイ州・ホノルル市にあるアヌエヌエ学園の9年生(13~14歳)6人を含む一行10人が6日、白老町の白翔中学校(宮田真基校長)を親善訪問した。同学園はハワイ語を重視して教育しており、生徒たちはアイヌ文化の根付くまちで成長する同校の1年生33人と歌や工作体験などで楽しい時間を過ごした。交流を通じ、2校の生徒たちはルーツのある民族に理解を深めた。
同学園は、ハワイ語を母語として、幼稚園児から高校生までを同じキャンパス内で教育している同州でも数少ないイマージョン・スクール(語学学校)。ババ・イム校長(50)は2022年、教育視察で平取町の小学校を訪れ、アイヌ文化と教育方針に感銘を受け、今年は親善訪問を希望した。しかし、同学園の生徒にとっては初の国外研修旅行になり、多数の生徒の引率と旅程の関係から民族共生象徴空間(ウポポイ)のある白老町を研修地に決め、白翔中が受け入れた。
同学園の生徒たちはハワイ王国の王家の歴史を歌う古典フラやウクレレを用いたモダンフラなどを披露。仲良くしたいという思いを情感の込もった歌や踊りで表現した。同校の1年生も校歌を歌って一行を歓迎した。その後、全員でアイヌ文様の切り絵工作を体験。町末広町で「しらおいイオル事務所チキサニ」を運営する白老モシリのスタッフの指導で作業を進め、道具を貸し合ったり、作り方を教え合ったりして交流を深めた。
ルーツを持つ言語での教育を重視するイム校長は「言語と文化は、これらを学ぶ上で切り離すことができない。アイヌの皆さんが歩んできた歴史と文化を学ぶと、私たちとの共通点が多く見いだせる。旅を通し、(学園の生徒が)日本の子どもたちの考えていることに触れ、民族共生、世界平和について考えるきっかけになってくれたらうれしい」と語った。
9年生代表のカヘレ・シト=ラングさん(13)は「(白翔中生徒は)歌が上手で心が躍った。私たちとの出会いがハワイ語を学ぶきっかけになればうれしいし、私もアイヌ文化や日本文化をたくさん学びたい」と笑顔を見せた。
津田稜太さん(13)は「同じ時間を一緒に過ごし、物を作ったりすることで親近感や興味が湧いてきた。将来はハワイへ行きたいという気持ちが強まった」と話していた。
一行は3日に現地をたち、4日に来日。5日はウポポイを見学した。今後は、インターネット回線をつないで交流してきた広島市や40年以上同州と姉妹都市提携を結ぶ福岡県を訪ね、12日には帰国するという。