白老町竹浦在住のアーティストでデザイナーの石川大峰さん(43)と地域住民の有志による「満月夜市」が29日、旧竹浦小学校で開かれた。同町の子どもの数と同じ数のフィラメント電球をともす石川さんのアート作品を展示した校庭で、飲食や買い物を楽しむ初めての催事。町民ら約400人が来場してにぎわった。
作品の展示は昨年、白老文化観光推進実行委員会主催の芸術祭「ルーツ&アーツしらおい―白老文化芸術共創」の一環で行われ、今年度は地域住民を中心とした有志の取り組み「竹浦アートプロムナード」として実施された。計50の個人、企業団体から協賛や協力を得て16日に点灯を始め、30日まで行う。来年度以降も継続開催を目指している。
夜市には、飲食、雑貨、書籍などを扱う町内外の店がテントやキッチンカーで21店出店し、屋台市のような活況を呈した。ステージでは、2012年に竹浦小の全校児童と共同制作した曲をCD化した札幌市在住の画家・富士翔太朗さん(43)らが「あいのほしのこ」として白老の子どもたちと歌のステージを繰り広げた。同町で半世紀ほど前に制作された「どさんこ音頭」の復元を目指す竹浦のドローンカメラマン瀧谷栄さん(56)らによる歌と踊りも披露され、かがり火を中心にして輪踊りを楽しむ光景が広がった。
石川さんは「地域の皆さんの協力と理解がなければ実現できなかった」と喜びの表情。「関わった人全員で、地域住民と観光客の交流の場となるよう育てていきたい」と前を向く。関係者の1人、原口弘子さん(60)=町竹浦=は「会場設営などで協力を申し出てくれた方が多く、心強かった。関わった人が『協力できて良かった。またやりたいね』と思えるイベントでありたい」と話す。
昨年の展示を支えた白老文化観光推進実行委員会の中村諭事務局長(66)も会場を訪れ、「町民の町民による町民のための芸術祭になることがルーツ&アーツの使命なので、町内に新しいルーツが誕生したことは大変喜ばしい」とエールを送った。