海洋生物の調査や研究に取り組む笹森琴絵さん(60)=室蘭市=が27日、登別市の水族館「登別マリンパークニクス」のニクス城で常設展示している写真を更新した。2部構成で「噴火湾、今と昔」「親潮が結ぶ海の物語」がテーマ。計21枚でイルカや鯨、シャチやトドなどの躍動感あふれる瞬間を紹介している。観覧は今後1年間ほど楽しめる。
笹森さんは1963年、室蘭市生まれ。2014年設立の日本クジライルカウオッチング協議会会長で酪農学園大学特任准教授、国際観光学研究センター客員フェローなども務める。
同水族館では02年から写真展を継続開催し、近年は年1回ペースで内容を入れ替えている。
「噴火湾、今と昔」では、1995年から2021年までの26年間、噴火湾で撮影してきた鯨やイルカの姿を捉える。笹森さんは「気候変動の影響か海水温が上昇し、餌となるイカなどが減ったことで今は見られなくなった鯨類がいる」と語り、「変わりゆく海のために、自分たちにできることを考えるきっかけにして」と呼び掛ける。
「親潮が結ぶ海の物語」では、00~21年ごろのカムチャツカ南島岸や北方四島、釧路沖など道東海域に広がる親潮の圏域で生息、回遊する生き物たちの姿を追った。現在はロシアがウクライナを相手に戦争を始めたことで満足な調査研究ができず、笹森さんは「環境を見守るためには平和が必要」と訴え、自然の中に息づく海洋生物の美しさや魅力をアピールしている。