2018年9月に発生した胆振東部地震から5年目を迎えた6日、震度6強を観測し、大きな被害を受けたむかわ町では、鵡川中学校(阿部隆之校長)が防災集会を開き、鵡川中央小学校(荒木英弥校長)は全校避難訓練を行った。被災を体験している児童、生徒たちは、改めて非常時の行動を学び、防災学習の大切さを確認した。
鵡川中は、震災体験の記憶を次世代につなげるための防災ウイーク集会「むかわの記憶」を開き、生徒たちが胆振東部地震で被災した町民から聞き取った当時の状況を発表し、東日本大震災の被災者からオンラインで体験談を聞いた。
発表は各学年の代表が行い、2年生の六角明憲さん(13)は、消防署員から聞き取りした内容を紹介。「人は予想しないことが起こるとパニックになるため、避難訓練の大切さが身に染みた。いち早く正確な情報を把握し、自分だけではなく周りの人を助けられる人になりたい」と語った。
体験談は、11年3月の東日本大震災時、中学生だった岩手県釜石市の川崎杏樹さんが、津波による被災について語った。襲ってくる津波に子どもたちだけで避難したといい、「津波の怖さを認識し、避難訓練を繰り返していたことから、率先して逃げる意識を持っていた。防災教育が大きな役割を果たした」と振り返った。
現在は現地の「いのちをつなぐ未来館」のスタッフとして伝承活動や防災教育の大切さを伝えており、「災害は必ず自分の身に起きるという心構えをしてほしい。備えていれば助かることができるから」と呼び掛けた。
3年生の須藤雄斗さん(14)は「今までの防災学習で学べなかったことを学べた。生徒たちが自分たちで判断し、団結して小学生や園児を連れて逃げた行動は勇気があると思った」と感心し、「被災者として見習い、自分たちの場所に合った防災活動を展開したい」と意識を高めていた。
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鵡川中央小では全校児童209人が非常時の行動を確認し、胆振東部消防組合消防署鵡川支署の庁舎まで避難する訓練を実施した。
「町内で震度6強の地震が発生し、津波警報が発令された」と想定し、三つの学年でつくった2グループに分かれて行った。
児童たちは身の安全を確認してから屋外に出ると、高学年が低学年をサポートしながら同校から約900メートル離れた消防庁舎まで列になって移動し、庁舎屋上まで避難した。「1、4、6年生グループ」でかかった時間は、想定した津波到達時間より20分早い約18分だった。
同組合消防署鵡川支署の担当者は「いざ災害が起きると、大人でも冷静な判断ができなくなる。子どものうちから覚えるよう、説くことが大事」と呼び掛け。6年生の霜田吉之助君(12)は「命を守る行動として、避難グッズを持ち、安全に移動したいと思った」と話していた。