福島県で1日、沖合底引き網漁が解禁された。東京電力福島第1原発にたまる処理水の海洋放出後では初めて。同県相馬市の松川浦漁港からは未明に漁船約20隻が出港。正午前から続々と港に戻り、水揚げや競りなどが行われた。
同港では午前1時半から出港式が行われ、相馬双葉漁協の菊地昌博副組合長が「処理水が放出される中での再開となり残念だが、頑張ってほしい」と激励の言葉を掛けた。
帰港した漁船からはイカやメヒカリ、アンコウなどが次々と水揚げされ、その場で競りに掛けられた。漁協の担当者によると、放出前と比べて取引価格に大きな変化はないという。
漁を終えた40代男性は「不安はあるが、じたばたしても仕方がない。やるべきことを粛々と進めるだけだ」と話した。
水揚げの様子を見守っていた同漁協理事で、地域の底引き網漁船船主らの代表を務める高橋通さん(68)は「自分たちにとって漁業はなりわいそのもので、原発事故後も困難に耐えながら続けてきた。処理水の放出でへこたれていられない」と前を向いた。