ジャニーズ事務所の故ジャニー喜多川前社長による性加害問題を巡り、事務所が設置した「外部専門家による再発防止特別チーム」は29日、調査報告書を公表した。前社長が長期間にわたり広範な性加害を行っていたと認定。事務所が適切な対応を怠ったとして、藤島ジュリー景子社長の辞任を求めた。
前検事総長で特別チームの林真琴座長は記者会見し「謝罪と救済なくして事務所が再生を図ることは難しい」と強調。再発防止策として、被害者救済制度の創設や人権方針の策定などを提言した。
特別チームは、ジャニー氏が1970年代前半から2010年代半ばにかけ、事務所のジャニーズJr.に「広範に性加害を繰り返していた」と認定。「少なく見積もって数百人の被害者がいるという証言が得られた」と報告した。
事務所が適切な対応を取れなかった背景には、ジャニー氏と姉の故メリー喜多川氏に権力が集中する「同族経営の問題があった」と指摘。「(めいの)ジュリー氏が経営トップのままでは再出発は困難」と断じた。林氏は「事務所には再発防止策のすべてを実施していただきたい」と求めた。
提言を受け、ジャニーズ事務所は「提言および会見内容を真摯(しんし)に受け止める」とのコメントを発表。近く記者会見し、今後の取り組みを説明するという。
この問題では3月に英BBC放送が報道したのを機に、元所属タレントが相次いで被害を告白。国連人権理事会の作業部会の専門家が来日するなど、広がりを見せている。