白老東高校(小川政博校長)で選択科目「地域学」を学ぶ3年生10人と名古屋外国語大学(愛知県日進市)世界共生学部の学生ら12人は25日、アイヌ民族の伝統料理を同高校の調理室で一緒に作り、町内での交流を始めた。30日には白老の魅力を探る調査を合同で行い、9月1日に学生たちが開く調査結果報告会でも協力していく。
大学生は2、4年生やOGで23日に来町。多文化共生と地域創生をテーマとした調査活動を目的に9月2日まで滞在する。高校生たちは学生たちに同行し、活動をサポートしながら自身の地域再発見につなげる。学生と生徒は21日にオンラインで交流し、互いに会うことを楽しみにしていた。
25日に直接顔を合わせた大学生、高校生たちは、アイヌ民族の伝統料理、サケ入りのオハウ(温かい汁物)を作った。講師は、町社台でNPO法人ウテカンパを主宰し、学校と地域が連携して教育を進める同町の「地学協働コンソーシアム会議」会長の田村直美さん(52)。サケのさばき方や両手に包丁を持ってすり身状にするチタタプの方法を伝えた。すり身はつみれにしてフライパンで焼き、オハウと共に食べた。
同高校3年の菊地和希さん(17)=苫小牧市緑町=は「初めて会った気がしないくらい(学生と)気軽に交流できてうれしい。30日の合同フィールドワークも楽しみ」と笑顔。同大2年の稲熊のどかさん(19)は「短い期間だが、(滞在した学生が)白老町の『関係人口』になり、思い出に残るよう、自分たちも町の魅力をしっかり吸収したい」と意気込んでいる。
30日は、高校生が主体となってJR白老駅周辺の中心商店街の魅力を探るフィールドワークを行う。4班に分かれてカフェやジェラート店を取材し、セールスポイントなどを聞き取って内容を動画にまとめ、後日、校内で発表する。引率する志田健教諭(57)は「(学生との活動で)白老町の魅力や面白さを新たに発見するだけでなく、動画での紹介を通して『まちの役に立てた』という思いを育みたい」と学習の狙いを話す。
9月1日には、大学生がそれぞれテーマを決めて町内で調べたことを報告する会を町民向けに行う予定。学生たちは各地域で独自に取材を進めており、高校生らは報告会のリハーサルで、町民の立場からアドバイスする。学生を引率する世界共生学科の地田徹朗准教授(45)は「白老では、多文化共生のまちづくりに特色があり、学ぶ点が多い。(一緒に行動することで)高校生の学びのバックアップにもつなげられれば」と述べた。