日本の食料自給率が2022年度もカロリーベースで38%にとどまった(8日付本紙)。前年度から横ばい。政府は30年度「45%」を目標にした計画を立てているが、達成は見通せない。そもそも45%は10年度の目標として00年度の計画に盛った数字。達成できないから何度も延長している。しかも政府はこの間、市場を開放し農畜産物の輸入を拡大させた。
農水省の資料によると、38%はG7の中では最低だ。最も高いのはカナダで221%、米国は115%、ドイツ84%、英国54%。英国は第1次大戦前、40%程度だった。戦争を踏まえ2000年初頭に70%台に高めたが、再び低下した。
食料安全保障に現実的な危機感を覚える。ロシアのウクライナ侵攻で世界的に小麦が不足した。化学肥料原料も足りなくなった。気候変動などで飼料用穀物の不足も深刻化している。日本の飼料自給率は25%足らず。感染症が地球規模で流行したこの数年は、食料に限らず国内外で供給網が絶たれた。不測の未来に何を備えるべきか改めて思い知らされた。
本道は国の食料基地だ。スマート農業などの生産高度化、耕作放棄地の再生、1次産業全般の支援策はどの程度機能しているか。実効性ある策を求めたい。その先に農業・農村の活性化もある。(司)