白老町は、2024年10月の開院を見込み敷地内に移転改築を予定していた町立病院について、開院時期を25年5月に再延期することを、18日に開かれた町議会全員協議会で報告した。物価高騰などにより、総事業費が当初見積額より9億3000万円増額し、35億8000万円に膨らむことも明らかにした。
開院時期は、22年1月時点で24年5月としていたが、建築資材の納期遅れなどから今年3月に5カ月先の24年10月に延ばした。今回の延期で、当初の予定からは1年遅れとなる。
再延期の理由は、資材価格の上昇や人手不足。町は昨年9月、解体する病院建屋にアスベスト(石綿)が含まれているとして、解体工事費の1億5950万円増額を把握していた。この後、スロープの勾配緩和や防音工事の設計変更に加え、資材価格が高騰し、建設業者の共同企業体(JV)から今年4月、総事業費39億5759万1000円が示された。町はJVと7月18日まで計18回にわたって交渉し、設計変更の一部取りやめや、性能と機能を下げずにコストを抑える手法の採用で、3億7759万1000円の減額を求め、35億8000万円で妥結した。
再延期には価格交渉が長引いたこと、事業費の増加には作業員の人手不足で工期が当初の13カ月から18カ月まで延びたことも要因となった。
総事業費の財源では、22年1月時点から地方債の発行額を3億3890万円抑え、将来の財政負担軽減に努めた。地方債で19億5300万円、国の補助金で16億2700万円を調達し、病院周辺の歩道をバリアフリーにしたり、敷地内に太陽光パネルを設置したりすることに活用していくという。
議員からは「病院改築は半世紀に一度あるかないかの重要な事業。建設後の経営シミュレーションについても検討を」などとただす声があり、大塩英男町長は「中身が伴う改築にしなければならない。検討の機会はしっかり設けたい」との考えを示した。
町は工期を9月から25年2月までとしており、23日の町議会8月会議での可決を経てJVと契約、9月26日にも起工式を行いたいとしている。