苫小牧市の小劇場演劇集団「4丁目劇場」との出合いは、高校3年生の夏。代表GOROさん、副代表に阿部隆之さんがいた。鳥嶋清嗣朗さんが代表を務める劇団「群’73」の舞台で出会い、互いに小劇場のお芝居を苫小牧でやりたいと旗揚げをしたそうだ。鳥嶋さんがいなければこの2人は出会わず、自分も演劇と出合うことはなかった。
群から羽ばたき、またはたもとを分かつようになった演劇人は数知れない。群という幹は、多くの演劇人を生み、その人々は力を伸ばし、今も全国で活躍している。少なくとも自分もその枝葉の一つであると感じる。
4年前の鳥嶋さんの引退時、ご自身が30年以上続けてきた市民参加演劇の演出をご指名いただいた。その歴史と責任が肩に重くのしかかる。枝葉が幹に成長を促された気がした。
そして時を戻し、鳥嶋さんの通夜。ご家族の好意でお顔を見せていただけることになり、遺体へ語り掛ける。「生前に話したように、僕らしくやらせていただきますね」。初めての2人だけの秘密。鳥嶋さんの口角がちょっと上がった気がした。
(舞台演出美術家・苫小牧)