政府は8日、首相官邸で「マイナンバー情報総点検本部」を開催し、相次ぐトラブルを受けた総点検の中間報告をまとめ、再発防止策とともに示した。調査の結果、健康保険証とマイナンバーカードが一体化した「マイナ保険証」について、別人の情報が誤って登録された事例が新たに1069件判明。うち5件で薬剤情報などが閲覧されたことが分かった。これにより、現時点のマイナ保険証の誤登録総数は8441件となった。
ひも付け方法が不適切とみられる自治体や保険者などについては、個別データの点検を行う。岸田文雄首相は同本部で「原則として11月末までに実施してほしい」と関係閣僚に指示。その後記者会見した河野太郎デジタル相は「期限ありきではなく、丁寧に点検することを優先したい」と述べ、制度を所管する各省庁と実施機関で協議するよう求めた。
河野氏はまた、マイナンバーと公務員らの年金記録とのひも付けミスが118件あったと公表。障害者手帳に関するひも付けで、調査した237自治体のうち約2割の50団体で手続きに不備があったことも明らかにした。障害者手帳情報については、ひも付け作業を担う全自治体に個別データの点検を求める。
健康保険組合加入者らのデータ点検を行う「社会保険診療報酬支払基金」がマイナンバーを照会する場合の手数料は特例的に無料とする。
ひも付け誤りの再発防止策では、マイナンバー登録で人為的ミスを防ぐためのガイドラインを9月中に作成。関連する制度の申請者に対し、マイナンバーの記載を求めることを明確化する省令改正なども行う。
制度の信頼回復に向け、政府はカードの個人向けサイト「マイナポータル」で閲覧できる29項目の情報について、全国の自治体や健康保険組合などに対し、マイナンバーと個人情報のひも付け方法が適切かどうか確認を求めていた。
これまでの調査では、課税情報や労災年金情報でのひも付けミスも各1件確認された。