政府が普及を目指す洋上風力発電を巡る資金授受疑惑で、自民党の秋本真利衆院議員(47)=比例南関東=に風力発電会社「日本風力開発」(東京)社長から約3000万円が渡った疑いがあることが4日、関係者への取材で分かった。東京地検特捜部は同日、収賄容疑で秋本氏の衆院議員会館の事務所や千葉県内の地元事務所、自宅を家宅捜索した。
特捜部は、既に同社社長から任意で事情聴取。今後、押収した資料を分析するなどして不透明な資金の流れや趣旨について調べを進めるとみられる。
社長の弁護人は4日、取材に応じ「資金は秋本氏に渡したものではない」と資金提供自体を否定。秋本氏の事務所は取材を試みたが連絡が取れなかった。
関係者によると、2021年10月ごろ~今年6月ごろ、洋上風力発電事業への参入を目指す同社の社長から秋本氏に、20回以上にわたって計約3000万円が渡った疑いがある。
洋上風力発電を巡っては、普及促進のための海洋再生可能エネルギー整備法が18年11月に成立。事業者に最大30年間の一般海域の占用を認めるもので、国土交通省と経済産業省が発電に適した海域を「促進区域」とし、事業者は入札で決めることとされた。
日本風力開発は、青森県の陸奥湾などでの事業参入を目指している。秋本氏は19年の国会質問で「国防に支障がないなら、洋上風力が青森県でもしっかりと展開されるべきだと思う」と発言。20年の公募で同社が選定を逃した後の22年の国会質問では「次回の公募から評価の仕方を見直していただきたい」などと要望していた。
政治資金規正法は、年間5万円を超える寄付者の氏名などを収支報告書に記載するよう義務付けているが、秋本氏の関連政治団体の収支報告書(17~21年分)には同社名の記載はない。
秋本氏は、12年12月の衆院選に千葉9区から出馬して初当選し、現在4期目。17年8月から18年10月まで国土交通政務官に就任。22年8月から外務政務官を務めていたが、4日辞任した。