【ワシントン時事】2020年米大統領選の結果を覆そうとしたとして起訴されたトランプ前大統領は3日午後(日本時間4日午前)、ワシントンの連邦地裁に出廷し、四つの罪状全てに無罪を主張した。トランプ氏の刑事訴追は3回目。同氏は返り咲きを目指して24年大統領選に立候補しており、複数の刑事裁判を抱えながら選挙戦を進めることになる。
トレードマークの青いスーツと赤いネクタイ姿で裁判所に現れたトランプ氏は、判事の前に起立し罪状認否で「無罪」と訴えた。退廷後、記者団に「(バイデン政権による)政敵への迫害だ。米国で起きてはならなかったことだ」と語った。
トランプ氏は弁護士らと共謀し、(1)選挙結果を覆すため国家を欺こうとした(2)結果の認定手続きを妨害した(3)有権者の投票権を侵害した―などとして、1日に起訴された。検察はトランプ氏が敗北を認識しながら、権力の座に居座るために「不正選挙が行われた」とするうそを広め、結果的にトランプ氏の支持者らが連邦議会を襲撃した21年1月6日の事件につながったと指摘している。
トランプ氏は機密文書持ち出し事件や、不倫相手への口止め料支払いに関する記録改ざんでも起訴されている。積み上がる訴訟費用や出廷のための日程調整で、選挙活動が制約を受ける可能性がある。
事件を担当するタニヤ・チュトカン判事は議会襲撃関係の裁判にも携わり、事情に精通。米メディアによると検察の求刑以上に厳しい判断を下すこともあるという。
トランプ氏は出廷に先立ち、交流サイトに「ワシントンで公平な裁判を受けることは不可能だ」と投稿。ワシントンは同氏を批判するリベラルな有権者が多いとされ、より保守的な州での裁判を要求している。