安平町教育委員会は中学校の部活動について、スポーツ部、文化部とも2025年度末までに地域移行を完了させて、廃止する方針を明らかにした。地元の総合型地域スポーツクラブ「NPO法人アビースポーツクラブ」を軸に地域を受け皿にした「クラブ化」を進め、指導者や組織の体制が整った部活動から順次、地域に移行していく考えだ。
部活動の地域移行は、学校教員が受け持つ部活動指導を地域のスポーツクラブや競技団体に担ってもらうこと。学校教員の負担軽減と、スポーツや文化活動を継続的に取り組める環境整備を目的に、国が推進している。25年度までを「改革集中期間」として位置付け、地域事情に応じ可能な限り早期実現を目指すよう促している。
安平町教委が、20日までに追分、早来両地区で開かれた住民説明会で示した見解によると、町内には現在、小中一貫の義務教育学校「早来学園」に7、追分中学校に6の部活動がある。このうち早来地区より生徒数の少ない追分中はすでに部活動が成り立たなくなっている状況もある。
10年先を見据えた場合、少子化、人口減少により、生徒(部員)や専門的な知識・技術を基に指導のできる教員の確保が困難になることが予想され、活動そのものが消滅することも危惧されるという。「今までは先生方の献身的な部分で成り立っていた」(町教委担当者)が、専門的な指導ができる教員がいないため、外部指導者を招へいして活動している部活動もあるという。
こうした中で地域に目を向けると、町内では現在、スポーツ少年団、体育協会、文化協会所属のクラブ・サークル、総合型地域スポーツクラブに加盟するクラブチームなどが活動している。町教委が体制の支援を委託するアビースポーツクラブには13団体が加盟。サッカーは小中学生が所属するクラブチームとして活動しているほか、陸上競技は練習に効率的に取り組める環境を近隣の町で整えてきた。
町教委は今後、アビーと連携して指導者の確保や各競技の指導組織体制の構築を進め、指導者には報酬を支払っていく。また、指導を希望する学校教員については、勤務時間後に対応してもらうこととしており「中学生がスポーツ・文化環境に親しみやすい環境と体制を地域に構築したい」と話している。