仙台藩志(はんし)会(伊達宗弘会長=登米伊達氏16代当主)の会員19人が19日、同藩ゆかりの史跡がある白老町を訪問した。全国各地にいる仙台藩士の子孫や郷土史愛好家らでつくる会で、来町は31年ぶり。昨年10月に北海道遺産に選定された町陣屋町の国指定史跡「白老仙台藩陣屋跡」などを見学し、藩士の墓に手を合わせた。
同会は毎年、各地にある同藩ゆかりの地を訪ね、歴史や文化に関する研究を重ねている。1935(昭和10)年の伊達政宗没後300年祭を記念し、34年に設立された協賛会が前身。その後、幾度か改称し、現在の名称となる。会員は全国に234人。
この日は仙台市在住の会員たちが訪れた。来町は1992年4月以来。一行は、仙台藩白老元陣屋資料館の武永真館長の案内で、保存されている史跡を散策。史跡近くに安置される仙台藩士の墓では、全員で手を合わせた。同資料館では、全国の博物館などに点在する同陣屋の絵図面26点を展示する特別展「幕末と明治維新を生きた北の防人」や常設展示を観覧した。
文化年間(1804~18年)に藩士の先祖がいたという木村啓一さん(72)は、資料館内に先祖ゆかりの展示品の大砲があったことを喜び、「来たかいがあった」と顔をほころばせた。
同会専務理事の鈴木精義さん(82)は「白老の皆さんが私たちの先祖を大切にまつり、史跡を大事に守ってくださっていることを改めて実感し、うれしく思う」と喜びの表情。常任理事の柳沼宣洋さん(81)も「地元に先住していたアイヌの皆さんと協力して北方警備の礎を築いたと分かり、感激している」と語った。
武永館長は「白老で警備に当たった仙台藩士の大きな功績の一つは、白老で戦争の血を流さなかったことだ」と藩士らの労をねぎらって語った。