お笑いコンビ「アップダウン」による長崎の原爆をテーマにした舞台「原爆体験伝承漫才 希望の鐘」が16日、白老町本町のしらおい創造空間「蔵」で上演され、町民ら約40人が鑑賞した。芸術文化事業を手掛ける町民団体「かのんの会」主催。
コンビの阿部浩貴さん(46)と竹森巧さん(45)が関係者と出会い、漫才をつくることになった経緯を笑いを交えて解説。「長崎被災協・被爆二世の会・長崎」会長の山崎和幸氏が「戦争を知らない世代がユーモアのある切り口で戦争の惨禍を伝えることに意味がある」と言ってくれたことに「勇気をもらった」と話した。
また、舞台のベースとなった被爆医師の永井隆氏(1908~51年)の著作「長崎の鐘」にあった「(被爆後に生き残った人々の)心のひび」という記述に「胸打たれた」と語り、竹森さんが永井氏役を、阿部さんが被爆した少年役を熱演。2人は「戦争を体験した人にとって戦争は終わらない。被爆の後遺症に苦しんだり、差別によって心の傷を受ける人もいる」と訴え、「かつてあった戦争の惨禍を想像してみることが平和につながる第一歩」と話した。