岸田文雄首相は11日午前、リトアニアとベルギー訪問のため、政府専用機で羽田空港を出発した。北大西洋条約機構(NATO)首脳会議と、欧州連合(EU)との定期首脳協議に出席し、安全保障分野などでの連携強化を話し合う。韓国の尹錫悦大統領とも会い、東京電力福島第1原発の処理水放出計画について説明し、理解を求める。
首相は出発に先立ち、首相公邸で記者団に「分断や対立ではなく国際協調に導くべく、同志国と法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の堅持、連携を確認する機会にしたい」と強調。ウクライナのゼレンスキー大統領と会談する考えも示した。
首相は12日にリトアニアでNATO首脳会議に出席する。同会議参加は2年連続で、中国の軍事的活動を踏まえ、NATOに対しインド太平洋地域への一層の関与強化を促す。ストルテンベルグ事務総長とも会い、宇宙などでの協力を盛り込んだ日NATOの新文書策定を協議する。
尹氏との会談は、NATO首脳会議に合わせて行う。また、ゼレンスキー氏との会談では、ロシアの侵攻に対し、引き続き支援する考えを伝える見通しだ。
13日にはベルギーでEUのミシェル大統領、フォンデアライエン欧州委員長との協議に臨む。安保や経済分野での連携が議題になる。首相は処理水放出計画について説明し、EUによる日本産食品の輸入規制撤廃を働き掛ける。
首相は14日に帰国する。