国内最大規模の黒毛和種和牛畜産企業「敷島ファーム」(本社栃木県那須町、高田正樹社長)は、東京農業大学などと連携し、巨大ススキを利活用した二酸化炭素(CO2)削減の取り組みを白老町で進めている。計測データを検証し、温室効果ガス排出量を実質ゼロにして和牛を生産する「ゼロカーボンビーフ」の実現を目指すという。
同社は昨年、室蘭工業大学と町内の自社農園で巨大ススキの利活用実証プロジェクトを開始。今回は町竹浦の飛生地区にある遊休地1ヘクタールを砂利採取販売のケイホク(本社苫小牧市)から借り受けた。24日には、小雨がぱらつく中、ジャイアントミスカンサス(和名オギススキ)の苗5000本を社員や大学関係者らが植栽し、高田社長自らも作業に汗を流した。
育成した巨大ススキは、日本由来のイネ科多年生植物。空気中のCO2を1ヘクタール当たり年間約50トン吸収し、地下茎に貯留する能力があるほか、牛の飼料や畜舎の床に敷く資材に活用できる。植栽すれば約20年にわたり繁茂する強さがある。
新たに東農大や農林中央金庫などを加えて取り組む今年は、植えた苗の近くに穴を掘り、地下茎の成長に合わせて10センチごとにセンサーを埋めてCO2の貯留量を計測していく。15年ほどかけて管理していく考えで、結果によっては今後、作付面積を拡大する計画もあるほか、株分けした巨大ススキの苗を白老から販売していくとしている。
高田社長は「白老からゼロカーボンビーフが生産できるかもしれない未来のある話」と意欲を示し、「今後のデータ解析次第では、マイナスカーボンの実現も夢じゃない。休耕地など土地の有効利用にもつなげていける」と語った。