条例は前文で「聞こえない人の日常生活や手話言語を深く理解して地域で支え合い、手話を使って安心して暮らすことができる町を目指す」と規定。7条の条文では「町民らの役割」として、手話でコミュニケーションを図ることで暮らしやすい地域社会の実現に寄与するよう努めることを求めている。事業者も聞こえない人が利用しやすいサービス提供や働きやすい環境整備に努める―とした。
本会議場を訪れた北海道ろうあ連盟事務局や町内の手話関係者らは条例の成立を喜び、大塩英男町長ら町職員や議員らと「アイラブユー」を意味する手のサインで記念撮影を行った。
聴覚にハンディキャップを持ち、成立の瞬間を傍聴した吉原和香奈さん(37)は手話で「条例成立に関わった全ての人に感謝する。これから観光で白老を訪れるろうあ者に、ますます優しいまちになっていくことを願う」と話した。
大塩町長は「誰もが安心して暮らせるまちづくりが大切。条例を生きたものとするため魂を込めて全力を尽くしたい」と述べた。町は今後、町内小中学校や企業を対象とした手話講座の開催や手話通訳者の派遣などを行っていくという。
国連は2006年12月に採択した障害者の権利に関する条約で手話を言語の一つと定義し、11年8月の改正障害者基本法でも同様に定義された。23日までの過去10年で全国の487自治体が条例を制定している。
町議会定例会は同日、3億6508万2000円の23年度一般会計補正予算案など議案20件、意見書3件などを原案通り可決し、閉会した。
白老町議会定例会6月会議は23日、白老町手話言語条例を全会一致で可決した。手話が音声言語と同様に人の暮らしに必要不可欠な言語の一つであるとし、町や町民の責務と役割を定めた条例で、7月1日から施行される。手話言語条例を制定した自治体は道内で30番目。