新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが、季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行してから1カ月余り。多くの人がまだマスク姿だが、「コロナ前」の日常を取り戻すように、イベント開催など各所で「3年ぶり」「4年ぶり」の表現が躍る。
新規感染者数の発表方法も変わり、感染情報に接する機会が減った。全数把握による毎日の感染者数発表から、定点医療機関の報告に基づく週1回のデータ公表になり、本紙1面も基本は毎週金曜の掲載のみ。感染者数の増減に一喜一憂するコロナ禍が、終わった感もある。
ただ、5類移行後も全国で、緩やかな感染拡大が続いている。重症化リスクのない人の自宅療養が浸透し、無料だった医療費の自己負担化もあいまって、公表数字は過去のデータと比べて下振れが進んでいる中、徐々にそして確実に「波」は高くなっている。
法律上はコロナとインフルは同等でも、コロナはインフルと異なって季節でゼロになったことはない。重症化しない若者らが無自覚のまま周りにうつし、感染を拡大させる構図も、病気の性質も、きっと変わっていないだろう。夏の観光シーズンを楽しく迎えるためにも、場面に応じた感染予防に励みたい。(金)